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札幌地方裁判所 昭和48年(行ウ)10号 判決 1977年3月31日

原告 北海道

右代表者知事 堂垣内尚弘

右訴訟代理人弁護士 馬見州一

同 曽根理之

同 橋本昭夫

同 田中健二

右指定代理人 国沢勲

<ほか六名>

被告 北海道地方労働委員会

右代表者会長 南部農夫治

右指定代理人 二宮喜治

<ほか七名>

参加人 南部順一

右訴訟代理人弁護士 佐藤文彦

右復代理人弁護士 後藤徹

主文

一  原告の各請求を棄却する。

二  訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一当事者の求めた裁判

一  原告の請求の趣旨

1  (昭和四八年(行ウ)第九号事件)

(一) 被告が参加人と原告間の昭和四五年道委不第三号事件につき、昭和四八年七月九日付でなした命令(別紙命令(一)記載のとおり)のうち主文第一項部分を取消す。

(二) 訴訟費用は被告の負担とする。

2  (昭和四八年(行ウ)第一〇号事件)

(一) 被告が参加人と原告間の昭和四二年道委不第一〇二号事件につき、昭和四八年七月九日付でなした命令(別紙命令(二)記載のとおり)を取消す。

(二) 訴訟費用は被告の負担とする。

二  請求の趣旨に対する答弁(被告及び参加人)

主文同旨

第二当事者の主張

一  原告

1  参加人の地位等

(一) 参加人は昭和三六年一〇月一日付で北海道職員に採用され、以来、地方公営企業労働関係法(以下、地公労法という)三条八号にいう企業にあたらない北海道立釧路療養所(後に北海道立釧路病院と名称変更)に所属していたもので、身分は技術吏員、職名はボイラー技士として地方公務員法(以下、地公法という)五七条にいう単純な労務に雇用されるもの(以下単労という)に該当していたものである。

(二) 参加人は、北海道に勤務する職員を構成員とし、地公法五二条にいう職員団体たる全北海道庁労働組合(組織人員は、昭和四一ないし四三年当時約一八、五〇〇名、うち単労約四、〇〇〇名である。以下全道庁という)に加入し、その下部組織である釧路総支部(組織人員は、昭和四一ないし四三年当時約八八〇名、うち単労九九名である。以下総支部という)に所属しているものであるが、昭和三七年七月総支部下部の釧路療養所支部の執行委員となり、次いで昭和三九年七月から同四五年九月三〇日までの間総支部書記長及び全道庁地方執行委員の役職にあり、また、昭和三九年九月以降いわゆる組合専従となっていたものである。

2  参加人の各違法行為と原告の懲戒処分ならびに被告の救済命令

(一) (昭和四八年(行ウ)第一〇号事件につき)

全日本自治団体労働組合(以下、自治労という)は、これに加盟する各地方公共団体の職員団体等において人事院勧告の完全実施等の要求貫徹を目的として、昭和四一年一〇月二一日の始業時から一時間のストライキを含む職場集会を開催する等の行動(以下、この項において統一行動という)をなすことを計画し、全道庁にその実施を指令したので、全道庁は同年一〇月八日開催の中央委員会において同計画の実施を確認・決定し、次いで総支部は同月一九日全道庁の右決定に基いてこれを実施することを確認、決定した。

そして、総支部は同年一〇月二一日午前八時頃から午前九時三〇分頃迄の間釧路支庁々舎前庭において総支部役員、同支部職員の一部および支援労働組合員らを参加させて職場集会を開催し、又同日午前八時三〇分過頃から午前九時三〇分頃迄の間同庁舎正面および裏入口付近においてピケを行ったものであるが、参加人は全道庁地方執行委員および総支部書記長として右各確認、決定に参画し、職場集会において通知、連絡、経過報告を行いその運営に当った外、ピケ指導を行ったものであり、参加人の右行為は地公労法一一条一項前段および後段の規定に違反するものであった。そこで、原告は昭和四一年一二月二七日参加人に対し地公法二九条一項一号、三号に基き懲戒処分として四ヶ月間給料の一〇分の一を減ずる旨の処分に付した。

参加人は昭和四二年一二月二二日右処分を原告の不当労働行為であると主張して、被告に対し救済の申立(昭和四二年道委不第一〇二号事件)をなした。

(二) (昭和四八年(行ウ)第九号事件につき)

又、自治労は前同様、これに加盟する各地方公共団体の職員団体等において、人事院勧告の完全実施等の要求貫徹を目的として昭和四三年一〇月八日の始業時から一時間のストライキを含む職場集会を開催する等の行動(以下、この項において統一行動という)を計画し全道庁にその実施を指令したので、全道庁は昭和四三年九月一八日および一九日開催の定期大会において同計画の実施を確認、決定し、次いで総支部はその後間もなくして全道庁の右決定に基いてこれを実施することを確認した。そして総支部は昭和四三年一〇月八日午前八時三〇分頃から午前九時二七分頃迄の間釧路支庁々舎前庭において総支部役員、同支部職員の一部および支援労働組合員らを参加させて職場集会を開催し、又同日午前九時少し前頃から午前九時二七分頃迄の間同庁舎正面および裏入口付近においてピケを行ったものであるが、参加人は、全道庁地方執行委員および総支部書記長として右各確認、決定に参画し、職場集会において通知、連絡、経過報告を行い、その運営に当った外ピケ指導を行ったものであり、参加人の右行為は地公労法一一条一項前段および後段の規定に違反するものであった。そこで原告は同四四年一月二五日付で参加人に対し地公法二九条一項一号及び三号に基き、懲戒処分として戒告の処分に付した。

参加人は、昭和四五年一月二一日右処分を原告の不当労働行為であると主張して被告に対し救済の申立(昭和四五年道委不第三号事件)をなした。

(三) 被告は右各事件につき昭和四八年七月九日別紙命令(一)および(二)のとおりの内容の命令を発し、その命令書写しは同月一二日原告に交付された。

(四) しかして右各命令の理由の要旨は、次のとおりである。

(1) 参加人の所属する全道庁及び総支部は、その構成員の大部分は労働組合法(以下、労組法という)の適用外である道の職員であるが、一部構成員に単労を含んでおり、この点でいわゆる混合組合に該当するが(イ)混合組合も、その構成員の労働条件の維持改善を図ることを目的とする団体である点において労働組合としての性質を有するものであり、ただ単労以外の職員については、その職務の性質上労組法の適用が排除されているに過ぎず、(ロ)単労については、昭和四〇年の地公労法及び地公法の一部改正により、単労が単労以外の職員の結成する職員団体に加入し得ることとなったが、その労働関係については、地公労法附則四項により当分の間は同法(但し、一七条を除く)および地方公営企業法(以下、地公企法という)三七条から三九条までの規定が準用される結果、地公労法四条により労組法七条一号本文が適用される一方、単労については、地公企法三九条により地公法八条一項一〇号の不利益取扱いに関する救済手続が不適用とされているうえ、(ハ)抑不当労働行為の救済は団結権に対する侵害を排除することにあること等の点から考えると、混合組合は単労に関しては労組法上の労働組合として取扱うべきである。

(2)(イ) 参加人は、全道庁地方執行委員および総支部書記長として各統一行動実施の確認、決定に参画し、更に、総支部書記長として各職場集会における通知、連絡、経過報告などをしたが、この一連の行為は形式的には地公労法一一条一項の禁止行為の「共謀、そそのかし、あおり」行為、地公法三七条一項後段の「争議行為等の企て、共謀、そそのかし、あおり」行為に当るものと一応認められなくもないが、右各法条の共謀、そそのかしなどの禁止規定は、すべてのものに対して形式的、一律に、かつ絶対的にこれらの行為を禁止しているものと解することはできず又右各法条に違反するものであるからといって、直ちに労組法七条一号の「労働組合の正当な行為」に当らなくなるものではない。即ち混合組合の役員たる場合においては当該団体の方針に決定的影響力を行使し得る地位にあるかどうか、その争議行為の目的、態様、その職務の停廃に及ぼした影響などを具体的に勘案し、上記禁止規定によって保護しようとする法益を考慮し、又同禁止規定は労働基本権の制限であるから、労組法が保障する労働基本権ことに労働者の団結権の保護目的、その法益とを比較衡量し、これを合理的に解釈すべく労組法七条一号の「労働組合の正当な行為」に該当するか否かを判断すべきである。

(ロ) 本件の場合には、参加人の右行為のうち単労の労働条件に係わることについてはまさに労組法七条一号の「労働組合の行為」に該当するものというべく、しかして、全道庁および総支部の各役員として行った行為はその各構成員のうち単労以外の一般職員の本件統一行動についての行為にも係りがあるところ、

(Ⅰ) 現行制度では、公務員の労働基本権を制限する代償として、国家公務員の場合には、人事院の意見や勧告によって、また、地方公務員の場合には単労を含めて人事委員会の意見や勧告によって、それぞれの給与その他の勤務条件が保障される建前になっていたが、従前、国はその財政事情などの理由で勧告どおり実施することがなく、また、道においても国が行なう実施方法と現実には同様の措置を行なってきていたところ、本件統一行動は、この人事院勧告の完全実施およびその他の要求を目的として行なわれたものであり、その目的において不当、違法なものとはいえないこと、

(Ⅱ) 参加人は全道庁地方執行委員および総支部書記長としての立場上、本件統一行動の計画実施が上部機関から指令されている場合、その実施に反対することができ難かったこと、

(Ⅲ) 参加人は、本件統一行動実施の確認、決定に関する機関決定において事実上決定的な影響力を行使しうる地位にあったとは認めがたいこと、

(Ⅳ) 本件統一行動のピケにより、釧路支庁職員のうち約二四〇名(昭和四二年道委不第一〇二号事件)――約一三〇名(昭和四五年道委不第三号事件)――の入庁が一時阻止されたが、それは始業時から三〇分程度(昭和四二年道委不第一〇二号事件)――二七分程度(昭和四五年道委不第三号事件)――であって、これがその業務に格別の障害があって、住民に特段の不利益を与えたものとは認められないこと、

右のような各事情に、労組法が保障する労働者の団結権の保護目的を考慮すると、参加人の行為は地公労法一一条一項及び地公法三七条一項の共謀、そそのかしなどの禁止規定により保護しようとする法益を害したものとはいえず、労組法七条一号の「労働組合の正当な行為」の範囲内にあたるということができる。

(3) しからば本件処分は、参加人に対し、労働組合の正当な行為をしたことの故を以て不利益な取扱をしたものというべきであるからその取消を免れない。

《以下事実省略》

理由

一  参加人の地位および全道庁の性格

1  参加人は昭和三六年一〇月一日北海道職員に任用され、身分は技術吏員、職名はボイラー技士であり、地公法五七条に規定する単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員であり、しかして地公労法三条八号にいう企業に当らない北海道立釧路療養所(後に北海道立釧路病院と名称変更)に所属していたものであることは当事者間に争いがない。

2  又参加人は北海道職員が組織し、地公法五二条にいう職員団体たる全北海道庁労働組合に加入していたことは当事者間に争いがなく、《証拠省略》によれば、全道庁の組織には執行機関として執行委員長、副執行委員長、書記長、会計各一名、中央執行委員数名があり、下部組織として各支庁所在地毎に各総支部があり、釧路支庁管内における北海道職員を以て組織しているものとして、釧路総支部があり、その執行機関として執行委員長、副執行委員長、書記長各一名、執行委員数名があり、又右下部組織の役員のうちいわゆる組合専従の者は同時に全道庁地方執行委員となり、全道庁における組合執行に参画していたこと、そして全道庁の組織人員は昭和四一年一〇月当時は約一九、〇〇〇名、昭和四三年一〇月当時は約一八、五〇〇名であり、うち単労は約四、〇〇〇名であり、又釧路総支部の組織人員は昭和四一年一〇月および昭和四三年一〇月当時夫々約八八〇名、うち単労は約九〇名余であったことが認められる。

しかるところ、参加人は昭和三九年七月から昭和四五年九月三〇日迄の間釧路総支部書記長であるとともに全道庁地方執行委員であり、又昭和三九年九月以降いわゆる組合専従であったものであることは当事者間に争いがない。

二  原告の参加人に対する懲戒処分および被告の本件救済命令(請求原因2)の事実は当事者間に争いがない。

三  参加人の被告に対する救済申立の適否

1  原告において、単労が自から労働組合を結成せず単労たる参加人が混合組合たる全道庁に加入した以上、全道庁は労組法上の労働組合ではないのであるから、抑労組法七条一号に基づいて労働委員会に救済の申立はできないと主張する。単労にかかる労働関係その他身分取扱については地公労法附則四項によって、地公労法四条および五条準用の結果、単労が労働組合を結成する途がありこの場合には労組法七条一号本文が適用されるものであることが明らかであり、又、単労には地公労法附則四項により地公企法三九条一項が読替のうえ準用の結果、地公法五二条ないし五六条の職員団体に関する規定もまた適用され、これにより単労は地公法上の職員団体を結成し、もしくはこれに加入することができることとなる。ところで、一般職の地方公務員の組織する職員団体に、同じ職場の単労が加入している場合、いわゆる混合組合の場合においては、かかる労働者および混合組合は不当労働行為の救済の申立をなし得るものと解すのが相当である。蓋し右の混合組合は実質的には労働組合としての性格を有するものというべく、ただ単労以外の職員については、その職務上労組法の適用が除外され(地公法五八条一項)、そのため不利益取扱いに関する地公法上の救済申立がそれらの職員および職員団体に用意されているに過ぎないものというべく、他方単労については労組法の適用があるものとされ(地公労法附則四項、同法第四条、労組法七条一号本文)、地公法上の救済から除外されている(地公企法第三九条)ところ、これらの単労についても職員団体への加入を認めている以上、右混合組合による団結権を保護し、これに対する侵害から守られなければならない必要性のあることにおいては径庭はないのであるし、偶々単労のみの右労働組合が存在しないため混合組合に加入した如き単労についてのみかかる救済の途を閉ざしているものと解するのは合理性を欠くものということができる。

更に付言すればそもそも不当労働行為制度によって労働委員会を通じてなされる行政的救済は憲法に保障された団結権の保障をさらに発展させ、その保護をより効果的に実現するため、特に設置した制度であるということができ、したがって、その救済制度の存置ないし具体的内容は、立法政策的裁量をもって決定されるものと解され、団結権の保障の対象としては、労働者の背後に形成され若しくは形成されようとする具体的な団結体のもつ性格によって相異が存することは許容されるものということができるが、かかる行政的救済の制度においては団結体間における行政的救済の差異が著しく不均衡にならぬよう、また、行政的救済の機会をいたずらに制約せず増進させるよう合理的に解すのが相当と考えられるのである。本件においては参加人は単労であって混合組合たる全道庁に加入しているものであるところ、全道庁はその構成員の労働条件の維持改善を図ることを目的とする団体である点においては、実質上労働組合としての性格を有するものであり、ただ、その構成員のうち単労以外の構成員については、その職務の性質上労組法の適用が排除されるに過ぎないというにすぎず、単労たる参加人については労組法の適用があり、従ってこれに対する不当労働行為制度による行政的救済手続については、全道庁も労組法上の労働組合として取扱うことができるものといわなければならない。

しからば、被告において参加人の本件救済命令申立に対し労組法を適用してなした被告の本件命令はこの点において適法であったものということができる。参加人の本件救済申立は却下されるべきであったとの原告の主張は理由がない。

2  なお、原告は全道庁の構成員のうち単労は二割程度にすぎないこと、全道庁本部及び釧路総支部の執行機関の役員の大部分が一般職に属する地方公務員であることなど全道庁の構成に言及し、単労が加入したとしても全道庁が労組法上の労働組合になるものではないと、全道庁の職員団体としての性格が変らないことを強調するが、職員団体に単労が加入することで直ちにそれが職員団体でなくなり労組法上の労働組合になるというものではなく、又単労の加わる混合組合が実質上単労の組織する労働組合として不当労働行為の救済を求めるためには、その構成員の組成、執行機関の組成等から見て単労の労働組合たるの実体を備えたときでなければならないものであることは所論のとおりである。しかし不当労働行為制度においては労働組合として救済を申立て得ないときでも、その内部における個々の労働者は不利益取扱について救済を求め得るのであるし、本件においては、全道庁が職員団体であるとするもその内部における単労はなお不当労働行為の救済手続を求め得べく、又、この限りにおいて混合組合たる全道庁も労組法上の労働組合として扱うことができるというに過ぎないのであるから、原告の右主張は理由がない。

3  原告は、参加人の本件各行動は職員団体としての全道庁のための行動に外ならないから、参加人の右行動は労組法七条一号の「労働組合の行為」にあたらず、従って本件各処分は不当労働行為に該当しないので、本件各救済申立は却下されるべきであった旨主張する。

混合組合に加入している単労にかかる不当労働行為について、混合組合を以て労組法上の労働組合として取扱うことができ、単労は不当労働行為制度による救済申立をなし得るとすること前示のとおりである以上、不当労働行為の前提となった単労の行為の性質が、職員団体のためのものか否かによって手続上不当労働行為制度の適用が左右されるいわれはなく、それはただ実体上不当労働行為の成否の判断において問題となるに過ぎないものというべきである。そしてしかも混合組合における単労が単労以外の職員のための行動に出たからといって、かかる単労について地公法に定める救済手続が適用されるいわれはなく、かかる単労についてもその身分ないし資格に応じた救済手続が適用されるべきものである。ところで参加人の前示行動は前示事実から明らかな如く、全道庁の構成員のうち単労以外の一般職の職員のための行動でもあったということができるが、専ら単労以外の一般職の職員のための行動、即ち単労には全く関係のない行動であったというわけではなく、その両者に関わっていたものであるから、不当労働行為制度上の救済手続を適用するに支障はないものというべきである。又参加人に対する不利益処分については、その救済手続としては地公法に定める救済手続を適用すべき余地はなく、その単労たる身分ないし資格に応じて労組法に定める救済手続を適用すべきものであり、結局、参加人の行為が全道庁のうち単労以外の職員のためのものでもあったとの点は、ただ実体上その不当労働行為の成否の判断において問題となるに過ぎないものである。

以上の次第であって、原告のこの点の主張は理由がなく採用し得ない。

四  救済命令の適否

1  原告においては、参加人の本件行為は地公労法一一条に違背するものであって、労働組合の正当な行為であるとはいえないのに、被告の本件命令においては、これを労働組合の正当な行為と判断した違法がある旨主張する。

憲法二八条は、いわゆる労働基本権を保障しているが、これは憲法二五条の生存権の保証を基本的理念として、勤労者の経済的地位の向上を目的とするもので、この労働基本権の保障は、公務員も勤労者として自己の労務を提供して生活の資を得ているものである点において一般の勤労者と異なるところはないから、公務員にも及ぶものと解される。この労働基本権も勤労者の経済的地位の向上のための手段として認められたものであるから、おのずから国民全体の共同利益の見地から制約を免れないものというべきである。そして、公務員の地位の特殊性と職務の公共性にかんがみるときは、これを根拠として公務員の労働基本権に対し必要やむを得ない限度の制限を加えることも十分合理的な理由があるということができる。前記のように、公務員についても憲法によってその労働基本権が保障される以上、この保障と国民全体の共同利益の擁護との間に均衡が保たれることを必要とすることは、憲法の趣意であるから、これを制限するにあたってはこれに代わる有効な相応の措置が講じられなければならない。

本件のいわゆる単労についてこれらの点を検討すると、地公法五七条は「単純な労務に雇用される者その他その職務と責任の特殊性に基づいてこの法律に対する特例を必要とするものについては、別に法律で定める。」と規定していることからして単労が行政行為に関与する一般職の公務員に比べ地位の特殊性が稀薄なことを認めて特別の立法を要求したものと解すことができる。しかし単労のみに関して特別に立法がなされることなく、地方公営企業の職員の労働関係について定めた地公労法が制定されると、同法附則四項によって、単労についても同法を準用するところとなった。地方公営企業は地公企法二条に規定されるように水道、自動車運送、地方鉄道、電気、ガス事業など公共性が高く地域住民の生活に密着した事業を地方公共団体が経営するもので、その職員についてみれば、行政作用に関与するものではないという面での地位の特殊性は稀薄であるが、その職務の公共性は大であり、したがって、その職員に労働基本権の制限が及ぶことも許容されないではない。しかしながら、単労の地位の特殊性の稀薄なことは前示のとおりであるところ、更に、その職務の公共性を地方公営企業職員と比べた場合には、そこに明白な差異があるものといわなければならない。ところで、単労については地公企法三九条一項が準用され、地公法八条一項が五号を除いて適用されないこととなっている。そこで、都道府県に設けられた人事委員会は、単労に関しては、その給与、勤務時間その他の勤務条件に関する措置の要求を審査し、判定し、及び必要な措置を執る等という権限を有しないこととなる。即ち、法制度上は人事委員会が単労に関して本件で問題となっている給与の改訂の勧告をなすことができないとされているわけである。このようにみてくると、単労には、一般職の公務員の場合にはその労働基本権の制限の代償として設置されている人事院、人事委員会のようなものが、存在しないこととなる。したがって、単労について地公労法の準用により一律に争議行為が禁止されており、これに反した場合には直ちに違法としてもはや労組法七条一号の労働組合の正当な行為とされる余地がないと解することは、単労の労働基本権の保障と国民全体の共同利益の擁護との間の均衡を失することになり、必ずしも合理的な解釈ではない。むしろ、そのなされた争議行為の目的、態様、それが職務の停廃に及ぼした影響などを勘案したうえ、これに対してなされた処分の軽重をも考慮し、これと労働者の労働基本権ことに団結権の保護目的を比較衡量したうえ、労組法七条一号の労働組合の正当な行為にあたるか否か、更に、救済命令を発するか否かを決するのが相当である。

2  更に、原告は、最高裁判所が国家公務員の争議行為の制限を合憲としている判決(最高裁昭和四八年四月二五日判決刑集第二七巻五四七頁)を出している以上、地労委はこれに拘束されるというべきで、地労委が独自の法解釈をなし、地公労法一一条一項に違反する行為があっても、これが労組法七条一号の労働組合の正当な行為にあたるとすることは、審査権の範囲の逸脱ないし濫用であり許されないと主張する。しかしながら、原告の引用する最高裁判所の判決は単労に関するものではないので本件と事案を異にするうえ、そもそも、地労委は労組法施行令一六条によって独立してその権限を行使することになっているのであって、最高裁判所の判決例を事実上尊重すべきは当然として、法制度上は直接これに何らかの法的拘束力が及ぶものではなく、地労委のなした救済命令における法解釈の誤りは、その取消訴訟によって最終的に最高裁判所によって正されることとなっているに過ぎない。したがって、原告の右主張は採用することができない。

3  そこで、参加人の昭和四一及び四三年の統一行動における行動の適否につき判断することにする。

(一)  昭和四一年統一行動

(1) 《証拠省略》によれば以下の事実を認めることができる。

自治労は他の公務員の諸組合とともに昭和三五年から公務員共闘会議を結成し、公務員の賃金闘争を行なってきたが、その間人事院のなす公務員の給与の改訂についての勧告は、その勧告内容についてはおおむね勧告通り実施されていたのに対し、その実施時期は五月一日からの実施の勧告にもかかわらず、一度も勧告通り実施されたことがなかった。具体的にこれをみると、昭和三六ないし三八年には一〇月一日から、同三九年には九月一日から夫々閣議決定に基づき勧告が実施されていたに過ぎない。そこで、自治労は本件の昭和四一年ストライキの前年の昭和四〇年においても、人事院勧告の実施時期の前進を目指して同年一〇月二二日半日ストライキの決行を予定したが、同日の閣議決定で九月一日からの実施が決定されたため、右半日ストライキは一部突入したものがあったものの中止された。

昭和四一年八月一二日人事院は平均六パーセントの俸給表の改訂とその他諸手当の改善につき同年五月一日からさかのぼって実施すべき旨の勧告をなし、これに対し自治労は人事院勧告の実施時期を含めた完全実施を求めた統一行動を計画し、同年八月二六日から二九日までの間開催された第一五回定期大会での討議などを経た後、前年のストライキ中止に至った事情などを考慮して、結局同年一〇月二一日に人事院勧告の完全実施その他の要求貫徹を目的として始業時から一時間のストライキを含む職場集会などの統一行動を実施することを、同年一〇月二、三日の第三七回中央委員会において最終的に決定し、これを基づき自治労中央執行委員長は右計画の実施を全道庁に指令した。全道庁は同年一〇月八日の中央委員会において右計画の実施を確認し決定し、また、全道庁の指令に基づき総支部は参加人関与のうえ同月一九日、支庁支部は同月二〇日それぞれ右計画の実施を機関決定した。

(2) 《証拠省略》によれば、以下の事実が認められる。

前記のような公務員共闘会議及び自治労の動きに対応して、昭和四一年一〇月一四日政府は閣議決定で、同年九月一日にさかのぼって人事院勧告どおり俸給表及び諸手当の改定を行うこととし、内閣官房長官談話や自治大臣談話を発表して来る同月二一日に予定されている公務員共闘会議の統一行動の実施につき自重を促した。道も同月一九日全道庁に対し右の予定された統一行動の実施につき自重を促す知事の談話を発表し、これを受けて釧路支庁長も翌二〇日全道庁釧路支庁支部に対して地方部長を介して同様の趣旨の警告書を交付して自重を促したうえ、支庁の各部屋と階段の踊り場に前記知事談話を記載した紙を掲示し、各課の課長を通じて一般職員に同月二一日の統一行動に参加せず職務に専念すべき旨を命じた職務命令書を交付するなどの措置をなした。

(3) 《証拠省略》によれば昭和四一年一〇月二一日の釧路支庁における統一行動の実施状況として以下の事実が認められる。

一〇月二一日の統一行動当日、支庁長を初め部長、課長等の管理職は午前八時前に登庁し八時ころから支庁内で会議を開いたうえ、前日の打合せ通り、支庁舎表は岡崎地方部長が、裏は仲経済部長がそれぞれ中心となって、支庁舎表は社会福祉課前の広場に約一〇〇名程、裏は支庁舎裏のプレハブ車庫の側に約二〇名程の一般職員を集合させた。一方組合側は橋本総支部長の指導のもとに、支庁支部の組合員、総支部の他支部の組合員及び公労協の支援の組合員を加えて、午前八時ころから支庁舎前の前庭において支庁舎の表玄関の階段を演壇代りにして集会を開催し、更に支援の組合員らを中心に表玄関については約五〇名、支庁舎裏の二か所の通用口については各一〇名程度の者が、二、三重に腕を組むなどして一般職員の入庁を拒むためピケを張った。岡崎地方部長らが携帯マイクを使用してピケを解除して欲しいなどと組合側に呼びかけた後、八時五〇分ころから管理職が先導して支庁舎の表と裏に集合していた職員を入庁させようとした。組合側は管理職のみの入庁は認める意向を示していたが、一般職員の入庁には応ぜずピケを解かなかったため、ピケ側の組合員らと入庁せんとする職員との間に揉み合いが生ずるというような事態には至らなかったものの、結局一般職員が入庁することはできなかった。このようなことが五、六回繰り返されたが、この間岡崎地方部長と橋本総支部長との間に職員の入庁に関し接渉がなされるうち、九時二五分を過ぎても職員の入庁ができないことから松野支庁長が警察官の導入も考慮しているとの意向が岡崎地方部長から橋本総支部長に伝えられた結果、組合側は九時三五分ころピケを解除し、待機していた職員が入庁した。結局釧路支庁においては本件統一行動によって約二四〇名の職員の入庁が三五分間阻止されたこととなる。

この間参加人は総支部の書記長として前日開かれた総支部執行委員会において決定された分担に従い、橋本総支部長の指示のもとに、ピケ隊のとりまとめや連絡にあたった外、一般職員に対するストライキ参加の呼びかけ、集会の司会及び当日までの賃金闘争の経過報告などを行った。

以上のような事実を認定でき、他にこれを左右する証拠はない。

(二)  昭和四三年統一行動

(1) 《証拠省略》によれば、以下の事実が認められる。

人事院勧告の実施時期については、昭和四三年当時まで勧告どおり実施されたことはなく、昭和四二年についても五月一日からの実施を求める勧告が、実際には八月一日から実施され、昭和四三年についても同年八月一六日人事院が八パーセントの給与の改善を五月一日から実施すべき旨勧告をなしたが、政府は同年八月三〇日の閣議において通勤手当のみ五月一日から、その他は八月一日から実施する旨の決定をなした(但し、同年一二月二〇日の閣議において再検討のうえ通勤手当以外のものについても七月一日から実施に変更決定)。自治労はこれに対し昭和四三年八月二四日から二七日までの間開かれた第一七回定期大会において、人事院勧告の完全実施その他の要求貫徹を目的として昭和四三年一〇月八日始業時から一時間のストライキを含む職場集会などの統一行動を実施することを計画、決定し、自治労中央執行委員長は全道庁に対し右計画の指示をし、全道庁はこれを受けて同年九月一八、一九の両日開かれた定期大会において右計画の実施を確認、決定し、その後間もなく総支部も参加人も関与のうえ全道庁の右決定に基づき右計画の実施を確認し、決定した。

(2) 《証拠省略》によれば、以下の事実が認められる。

道はこれに対し右同年一〇月五日に知事談話をもって右予定された統一行動の実施につき自重を促したが、釧路支庁においても右知事談話を記載した紙を支庁舎の一ないし三階の廊下に掲示した。またその前日の四日には右知事談話と同旨の内容の知事及び釧路支庁長の警告書を松本総支部長に交付して組合として統一行動を自重するよう直接申入れたうえ、更に、統一行動前日の同月七日には各課長を通じて一般職員に対し統一行動に参加せず職務に専念すべきことを命ずる職務命令書を交付した。

(3) 《証拠省略》によれば、昭和四三年一〇月八日の釧路支庁における統一行動の実施状況として以下の事実が認められる。一〇月八日の統一行動当日、前日の打合せ通り大聖地方部長ら管理職は午前八時三〇分ころまでに支庁舎裏の地方財務局の隣の空地に一般職員を集合させた。一方組合側はこのころ既に、橋本総支部長の指導のもとに支庁支部組合員、総支部の他支部組合員及び公労協の六、七〇名の支援の組合員の参加を得て、支庁舎の正面玄関右側の前庭において集会を開いており、更に支援の組合員らを中心に表玄関については約一〇〇名、支庁舎裏の二か所の通用口については合せて約七〇名程度の者が二、三重に腕を組むなどして一般職員の入庁を拒むためピケを張った。九時少し前大聖地方部長らが携帯マイクを使用してピケの解除の呼びかけを行った後、管理職が先導して集合させていた一般職員を入庁させようとしたが、組合側が管理職のみの入庁はともかく一般職員の入庁を拒みピケを解かなかったため、結局一般職員が入庁することはできなかった。このようなことが繰り返されるうち、大聖地方部長と橋本総支部長との間に職員の入庁に関し接渉が行われたが、右地方部長の三〇分以上にわたる場合には賃金カットの問題がでるのでそれ以前に入庁させるようにとの強硬な申入に、九時二七分ころ組合側もピケを解き、待機していた職員が入庁した。結局釧路支庁においては、一三七名程度の職員が入庁できなかったこととなる。この間参加人は総支部の書記長として橋本総支部長の指示のもと、ピケ隊のとりまとめや連絡にあたった外、一般職員に対するストライキ参加の呼びかけ、集会の司会及びその場での当日までの賃金闘争の経過報告などを行った。

以上のような事実を認定でき他にこれを左右する証拠はない。

(三)(1)  本件の各統一行動が行われた当時まで、その実施時期については人事院勧告が大幅に遅れて実施されていたことは、前記認定のとおりであるが、《証拠省略》によれば、道の財政が国にある程度依存するような状態であったことや、自治省の方からも地方公共団体の職員の給与につき指導がなされていたこともあって、道の人事委員会も内容において人事院の勧告を尊重し、かつその実施時期について、昭和四〇及び四一年度は、「四月にできるだけ近いことが望ましいが、国家公務員との均衡を考慮して措置することが適当」と、昭和四二及び四三年度は「五月一日が望ましいが、国家公務員との均衡を考慮して措置することが適当」とそれぞれ勧告し、事実上その実施時期を政府の決定する人事院勧告の実施時期に従っていたこと、政府における人事院勧告の実施が、昭和四〇及び四一年においては九月一日から、昭和四二年においては八月一日から、昭和四三年においては七月一日からと決定されたことに伴ない、道も人事委員会の勧告の実施を右と同じ時期から実施していること、以上の事実が認められる。したがって、人事院の給与の改訂の勧告は、地方公共団体の職員を対象とするものではないが、その勧告の内容と実施時期は地方公共団体の職員にとって密接な関連性、影響力を有していたものと認められるところであるから、労働基本権を制限された地方公共団体の職員がその完全実施を要求することは、その限りで正当な目的を有する行為であるということができる。そして、単労については、人事委員会がその法制度上給与等の勤務条件について勧告をなす建前とはなっていないが、現行法制上他に適切な代替措置がなされていないことも前判示のとおりであり、単労以外の一般職の給与等の勤務条件が単労に事実上密接な関連性、影響力を有しているものと考えられるところから、単労が人事院勧告の完全実施を要求することも、目的として正当であるというべきである。

(2) 本件各統一行動における参加人の行為についてみると、参加人は総支部の書記長として、本件各統一行動の決定に関与したばかりでなくピケのとりまとめ、集会の司会、賃金闘争の経過報告などに関与しており、その役割が軽いものだとはいえず、かなり重要で積極的な役割をはたしたものということができる。しかし、一方最終的に責任をもって統一行動の計画の実施にあたったのは、橋本総支部長であって、参加人もその指示のもとに各種の行為を行ったものといわざるをえない面もあった。

(3) 参加人は自からの属する釧路療養所支部から支庁に赴き支庁舎の出入口にピケを張って支庁の業務の遂行を妨害したもので、単に自からのなすべき職務を放棄したという不作為的争議行為にとどまらず、それ以上の積極的行為を争議行為としてなしたものということができる。しかし、一方、そのピケによって、一般職員の入庁は拒まれたわけではあるが、そのピケが暴力行為を伴ったものでもなく、前示のように入庁しようとする管理職や一般職員とピケの組合員との間に、入庁をめぐって揉み合いが生じたということもないので、本件統一行動におけるピケが特段に違法性の強いものということもできない。

(4) 本件各統一行動においては、それぞれ始業時から一時間のストライキが計画されたわけであるが、昭和四一年にあっては午前九時三五分ころ、昭和四三年にあっては午前九時二七分ころ、それぞれストライキの予定時間中途にピケが解除されて、一般職員の入庁が認められている。そして、一般的には、公務員が争議行為に及ぶときは、多かれ少なかれ公務の停廃をもたらし、また、その停廃は勤労者を含めた国民全体の共同利益に重大な影響を及ぼすか、またはその虞があるものと考えることができ、更に、事前に争議行為が行なわれることを国民が知りなんらかの対策を立てその影響を防止するとしてもそれゆえに当然に争議行為が許されるものとはいうことはできないが、しかし、本件の場合は当初予定の中途でストライキが中止されたこと、その時間も三〇分前後で比較的短期間であることを考えると、格別違法性が強いものということができない。

(5) 以上のような各種の事情に加えて、特に単労が地公労法の準用によりストライキ等の争議行為が形式的に禁止されている形をとりながら、それに代わる代替措置が法的になんら与えられていないという地位にあることを考えると、参加人の行為もやむを得ないものということもでき、また違法性が強いものと認められないところであり、したがって、その限りで労組法七条一項の労働組合の正当な行為にあたるものと解することができる。

(四)  原告は、被告の救済命令においては参加人の行為が地公労法一一条一項後段の「共謀、そそのかし、あおり」に該当する旨判示しているのみで、参加人の行為が同法一一条一項前段の「業務の正常な運営を阻害する行為」に該当するかどうかの判断を遺脱していると主張する。

任命権者の許可を受けて職員団体の業務に専従する者は、公務に対する専念義務がないことになるから、その職務放棄等の自からの職務を提供しないという不作為による争議行為をなすことはできない。しかし、地公労法一一条一項前段は「同盟罷業、怠業その他の業務の正常な運営を阻害する一切の行為」を禁止しており、右条項は必ずしも職務専念義務を前提とするものではなく、したがって原告主張のように参加人のなしたピケ指導は他の職員の職務に就くことを妨害する行為であり、参加人の行為も右条項に該当するということができる。ただ、懲戒処分においては職務専念義務を前提とする地公法二九条一項二号が適用できず、同項一及び三号が適用されるというに過ぎない。しかしながら、本件各救済命令は、参加人の行為が地公労法一一条一項前段に該当すると明示はしなかったものの、右条項に該当する事実を一応認定しつつ、一方諸々の事情等を総合し考慮した結果、なお、参加人の行為が労働組合の正当な行為ということができると判断したものであり、最終的な判断として意味をもつのは参加人の行為が労組法七条一号の労働組合の正当な行為に該当するか否かであり、しかも、地公労法一一条一項前段に該当する事実も一応認定しそれを基礎として労組法七条一号の判断をなしているのであるから、原告の本件救済命令に判断の遺脱があるとの主張は理由がない。

以上の次第であって、参加人の本件各救済申立が棄却されるべきであった旨の原告の主張はいずれも理由がなく、本件各救済命令は違法ということはできない。

五  結論

よって、原告の各請求はいずれも理由がないのでこれを棄却し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 磯部喬 裁判官 畔柳正義 平澤雄二)

<以下省略>

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